アル中病棟 入院記(7):早期退院決意。自宅そばのAAに通うため

03.アル中病棟 入院記

前回から随分と時間が空いてしまいました。ちょうど、1年近くでしょうか。この間、いろいろなことがありました。それらもまた、アルコール依存症で入院した「後」の体験記として残しておきたいと思いますが、まずは入院体験記の続きを締めくくらないといけません。

結論から言うと、私は当初2ヶ月と予定されていた入院期間を早め、約1ヶ月半に切り上げて早期退院することを決意したのでした。(自主任意入院の身ですので、これは主治医にその意志を伝えれば簡単に認めてくれます。

その理由はひとことでいえば、「もうこれ以上入院している必要はない」、
いやむしろ「一刻も早く退院してAAに通うことを通じて断酒を実現したい」というものでした。

それはこういうことです。2つほどの理由に分けて説明します。

まず第1に、前回も記したように、周りの入院患者さんたちとの「断酒への真剣度」のギャップに違和感を覚えるようになったことが大きいです。それはなぜかというと、特に入院から約1ヶ月が過ぎ、後半のAHP(アルコール依存症・リハビリテーション・プログラム)に入ったことでさらに際立ちました。後半の期間に入ると、断酒治療として、夜間にAAや断酒会へ参加しに行くことが義務づけられます(確か自分の病院の場合は20回AAに参加してハンコをもらってくることが退院の条件でした)。

ここで、病院外の、きちんと断酒を実現されているsober(シラフを続けている人)の方々に出会ったのが、大きなきっかけとなりました。なにより、当然ですが、病院内にいる大半の「お酒をやめる気がない人たち」とは、真剣度というかマジ度合いが段違いです。私は本気で断酒したいと思っていたどちらかというと珍しいタイプだったので、AAの独特な雰囲気にはすぐに魅了されました(多分、珍しいタイプだと思います。たいていの人は、AAのキリスト教チックな雰囲気に嫌気がさすと文句を言うのが通例でしたので)。いや、むしろAAにすがりつくような思いだったといってもいいでしょう。

そして気づいたのは、このまま病院に1ヶ月いても、当然入院中の身ですから、病院のそばのAAにしかまずは通うことができません。いわば「お試し」の状態です。自分の場合、自宅からだいぶ離れた場所(隣の県またぎ)で入院していたので、なおさらです。

さらに入院2ヶ月目には、AAへの外出と同時に、断酒訓練の一貫として、外泊(自宅など)も推奨されます。ちゃんとお酒を飲まずに自宅で一晩か二晩寝て起きて過ごせるかを試すわけです。私は当然断酒したいので、きちんとお酒には手をつけず(当然のことなのですが、ここでやはり飲んでします=スリップしてしまう方も多いようです)、そして自宅そばで開催されていたAAにも参加しました。はじめは緊張しましたが、自宅のそばにAAがあり、毎週のようにそこで同じ断酒を目指す仲間がいるという単純な事実に、私は感動するとともに、ただちに思ったのです。「このまま病院にいても意味がない」と。

さらにもう1つの理由もありました。それは身も蓋もないことを言うと、入院費、つまりお金の問題です。私はちょうど入院して一ヶ月が経った時点で、先月分の入院費(私は月の半ばで入院したので、だいたい15日分くらいだったと記憶していますが)の請求書が自分のところに送られてきました。その明細を見て、私はびっくり仰天したのです。ただ半月で、私の場合はけっこうな金額がかかることが判明しました(年収額に応じて、入院費は「限度額」というものが設定されるのですが、私の場合はわりと高額なほうだったので、入院費もバカにならない金額だったのです。参考:限度額適用認定証をご利用ください | お役立ち情報 | 全国健康保険協会)。
まあ実際には、私が入っていた保険組合では、入院費が一定の金額以上は補填してくれる制度がありましたので、思ったほどの多額の入院費を払う必要はありませんでした。しかし、それでも、たとえば毎日3食の食事代は医療費に該当しないため自分で払う必要があり、これがまたけっこうな金額でした。数年前からこの入院中の食事は価格が上がっており、イメージ的にいうと、毎食牛丼並を食べていたほうが安く上がるレベルです。もちろん、それでは栄養バランスが悪いということなのでしょうが、私が病院で食べていた限り、そこまで栄養バランスがいい(なにしろ美味ではない)とはいえない代物でした。ただ、低予算の中で、タンパク質を一日成人男性であれば80gを摂取する、というのを実現していたのはすごいことだな、とは思いましたが……。(糖質制限ダイエットをしていたことがあったので、タンパク質を安価に大量に摂取することの大変さを身を以て知っていたため)
まあそれはともかく、さして美味しくもない食事もコスパが悪いし、なにしろこんなところに監禁されていても治療にもならないとなると、これは金の無駄と悪影響しかありません。むしろとっとと退院して、自宅や職場そばのAAや断酒会を探して通う方がよほど断酒に繋がるわけです。であれば、退院しかないと決意するまで、そう長い時間はかかりませんでした。
……といったようなことを、主治医の先生に私は伝えました。「ここにいてもお酒をやめる気がない人ばかりでギャップを感じてしまう。早く退院して、自宅のそばのAAなどへ通って断酒している人たちと交流したい」。そう思ったままのことを伝えたら、「それはあなたのいう通りだし、その方が良い」と即答されました(笑)。これには拍子抜け感もありましたが、まあ、実際正しいのだと思います。アル中病棟に入っても、アルコール依存症そのものは医学的に治療することはできないのですから。
そして退院日を月末に決定し、私は予定よりも少し早い一ヶ月半で退院することになりました。それでも、2ヶ月目のAHPで義務付けられているAAに20回参加はきちんと達成しました(AAについては、退院後の体験記で触れたいと思います)。
(続く)
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